家賃の時効に関するQ&A

文責:所長 弁護士 寺井渉

最終更新日:2023年12月26日

Q未払いの家賃には時効はありますか?

A

 消滅時効は、権利を行使することができるときから一定期間権利を行使しない場合には、権利自体を消滅させてします制度です。

 家賃の請求も権利ですので、消滅時効の制度が適用されます。

Q家賃は何年で時効になりますか?

A

 現行法では、家賃の支払義務は、5年で消滅時効にかかることとなります。

Q家賃の時効はいつからカウントされますか?

A

 家賃の時効の期間は、各支払時期から起算されることになります。

 毎月払いの契約となっている場合、各月分の家賃が、その支払時期から時効期間がカウントされ、消滅していくことになります。

 そのため、5年前から支払っていないとしても、支払時期から5年を経過したものが時効により消滅することになり、支払時期から5年を経過していない分については時効が成立しません。

Q家賃の時効援用ではどういった点に注意する必要がありますか?

A

 ①援用をすること

 消滅時効は、時効期間が経過すれば、自動的に権利(義務)が消滅するわけではありません。時効の援用をすることが必要です。

 時効の援用とは、債権者に対し、消滅時効期間が経過し、その効果を享受することを伝える行為です。

 時効の援用をしなければ、どれだけ期間が経過しても、家賃を支払う義務は消滅しません。

 

 ②時効の更新事由・完成猶予事由がないこと

 以下に挙げるような時効の更新事由・完成猶予事由がある場合には、時効期間が経過していない場合もありますので、注意が必要です。

 ・債務者(支払義務者)による承認

 ・裁判上の請求・支払督促など

 

 ③時効期間が経過しているか

 上記のように、家賃の場合、支払時期から時効の期間がカウントされます。

 そのため、5年以上支払いをしていないとしても、例えば、賃貸借契約が解除されたのが4年前ということであれば、少なくとも支払時期から5年が経過していない家賃の未納分があることとなります。

 そうなった場合、未払い家賃全額が消滅時効により支払い義務を免れることにはならないので、注意が必要です。

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